「ファミリークローゼットって、やっぱり作った方がいい?」
注文住宅の間取りを見ていると、ランドリールームと並んでよく目にする設備です。家族の服を一か所へまとめられ、洗濯動線も短くなる。ここまで聞くと、採用しない理由がないようにも思えます。
ただ、ファミクロには人が中へ入るウォークイン型もあれば、通り抜けるウォークスルー型もあります。そして僕の家は、そのどちらでもありません。
僕はランドリーの横に、ランドリーの長さに添うような横長のファミリークローゼットを作りました。独立した部屋の中へ人が入るのではなく、ランドリーで使う床から、そのまま服を出し入れする形です。基本的に収納しているのは洋服。結論から言うと、洗濯動線を含めてめちゃくちゃ使いやすく、採用には大賛成です。
とはいえ、すべての家庭に同じ形が合うとは限りません。今回は、僕の実体験、住宅会社・収納メーカーの公開情報、実際に暮らす施主の口コミを分けて確認し、「必要か」だけでなくどの形なら床面積を無駄にしにくいかまで整理します。
この記事を書いた人|GURIZO(グリゾー)
九州で家族と注文住宅を建てた30代会社員。家を建てた後も、間取り・住宅設備・費用を調べ続けています。この記事では、自宅で確認したこと、第三者の体験、公式情報、僕の分析を分けて書きます。
3秒で分かる結論

僕の結論は、ファミリークローゼットには賛成。ただし「独立した部屋」にする必要はないです。
特に次の家庭は、ランドリー近くのファミクロを検討する価値があります。
- 家族の普段着を一か所へまとめたい
- 洗濯後、各部屋へ服を配る作業を減らしたい
- ランドリーの横、または同じ階へ収納を置ける
- ハンガーのまま戻す服が多い
一方、収納の中で着替えないなら、人が立つためだけの通路は必須ではありません。僕の家のように、ランドリーで使う床と収納前の床を共用し、壁に沿って横長に作る案もあります。
逆に、家族が中で着替える、通り抜け動線にする、スーツケースや季節物までまとめるなら、ウォークイン・ウォークスルー型の床にも役割があります。
GURIZOメモ
ファミクロはおすすめ。でも「とりあえず3畳」みたいな決め方は危ないんよね。服をしまうだけなのに、真ん中の床まで専用に取る必要があるのか。僕なら、まずそこから疑います。
ファミクロは“みんなが作る必須設備”ではない
南海プライウッドは、同社が確認した新築注文住宅1,065物件の図面を分析し、ファミリークローゼットの設置率を48%と報告しています。
参考:南海プライウッド「1000枚の図面調査から見えた後悔しない選び方」
約半数が採用している一方、約半数は採用していません。この調査は、同社が確認した図面が対象であり、日本の新築住宅を無作為抽出した公的統計ではありません。それでも、「注文住宅なら必須」とまでは言えないことが分かります。
ファミクロの価値は、名前や畳数ではなく、今まで別々だった動作をどれだけ減らせるかで決まります。
GURIZO宅は「人が中へ入らない」ランドリー一体型

僕の家では、ランドリーに併設して、その横幅に添うような横長の収納を作っています。
基本は洋服だけを収納。ファミクロの中へ入るための通路は作らず、ランドリーで作業するときに使う床から、服を出し入れします。
この形で良かったのは、主に次の3点です。
1.乾いた服を遠くへ運ばなくていい
洗濯の最後に残りやすいのが「しまう」作業です。ランドリーのすぐ横が収納なら、乾いた服を抱えて廊下や階段を移動する必要がありません。
ランドリールーム自体の必要性は、口コミを基に判断基準を整理した記事で詳しくまとめています。
2.収納専用の通路を別に取らなくていい
ウォークイン型は、服の前まで人が入るための床が必要です。僕の家は、ランドリーの作業床と収納前の床が同じなので、ファミクロのためだけに中央通路を持つ必要がありません。
限られた延床面積の中では、この差は小さくありません。通路をなくした分を収納の長さへ回すか、別の部屋へ残せます。
3.用途を洋服へ絞ったので、物置化しにくい
大きな収納は便利ですが、用途を決めないと、使い道のない物まで集まりやすくなります。
僕の家は基本的に洋服を置く場所。何をしまうかが分かりやすいので、ランドリー動線のための収納として役割がぶれにくいと感じています。
GURIZOメモ
これ、住んでからかなり満足してます。干した後に「はい、次は各部屋へ配達」にならんのがいい。派手な設備じゃないけど、毎日の面倒をちゃんと一個消してくれました。
※画像03は、GURIZO宅の実測写真ではなく、確認済みの配置と用途を基に作った再現イメージです。自宅の正確な寸法・収納量は本記事では公開していません。
ファミクロは4つの形で比べる

ファミリークローゼットを「作る・作らない」の二択にすると、自分たちに合う中間案を見落とします。まずは次の4案を、同じ延床面積で比べるのがおすすめです。
| 形 | 主な使い方 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 壁面・横長型 | 収納前の床を別用途と共用 | 通路を専用化せず、省スペースにしやすい | 収納の中で着替える用途には向かない |
| ウォークイン型 | 中へ入り、服を選ぶ・着替える | 収納と身支度を一室にまとめやすい | 中央の立ち位置・通路にも床面積が必要 |
| ウォークスルー型 | 収納内を通って別室へ抜ける | 帰宅・洗濯などの回遊動線を作りやすい | 出入口と通路の分、収納できない壁が増える |
| 個室分散型 | 各自の部屋で服を管理 | プライバシーと本人管理を保ちやすい | 洗濯後に各部屋へ運ぶ動作が残る |
セキスイハイムも、ファミクロの配置は目的で変わると説明しています。洗濯を短くしたいならランドリー・洗面の隣、帰宅後の着替えを優先するなら玄関付近、プライバシーを重視するなら寝室や2階付近という考え方です。
参考:セキスイハイム「ファミリークローゼットで後悔しない間取りのポイント」
「どこへ置くか」を決める前に、「洗濯」「帰宅」「着替え」のどれを短くしたいか決めた方が、間取りの軸がぶれません。
作る前に見落としやすい4つの注意点
1.中央の床は、収納ではなく通路になる
ウォークイン型の中央にある床は、服を出し入れし、立ち、向きを変えるための場所です。それ自体が無駄とは限りません。中で着替える家庭なら、身支度スペースとして価値があります。
ただし、服を取るだけなら、専用通路を設けず外側からアクセスする方が床を効率的に使える可能性があります。
実際の施主事例でも、二列型ファミクロの突き当たりをデッドスペースと感じた例があります。通路が必要かどうかは、畳数より先に確認したい項目です。
2.「家族4人だから3畳」では収納量を決められない
同じ4人家族でも、服の量、コートやワンピースの割合、たたむ収納と掛ける収納の比率は違います。
畳数だけで決めず、今あるハンガーを並べた長さ、引き出しの幅と段数、季節外の服を置く場所を数えます。ファミクロへ入れる物を洋服だけにするか、バッグ・布団・日用品まで入れるかでも必要量は大きく変わります。
3.ランドリー隣接なら、湿気と換気も一緒に考える
洗濯動線が短い一方、室内干しの湿気が収納側へこもらないよう、換気・除湿・空気の流れを設計者と確認する必要があります。
「隣に置けば自動的に快適」ではありません。採用する換気設備や除湿機、扉の有無、衣類を乾かす方法まで含めて判断します。
4.子どもの服をいつまで一括管理するか決める
子どもが小さい間は、一か所にまとめた方が親は管理しやすいです。一方、成長後は自室で服を選び、管理したいと考えるかもしれません。
最初から各個室へ大きな収納を作る必要はありませんが、将来は子どもの服だけ移せる余地を残しておくと、ファミクロへ全員分を固定せずに済みます。
施主口コミで分かった「広さより効く条件」
ここでは、確認できた個別の施主事例を紹介します。少数の体験を市場全体の結論にはしません。広さ・配置・収納範囲によって評価がどう変わったかを見るための材料です。
口コミ1|GURIZO宅:ランドリー横の壁面型にして満足
僕の家は、ランドリーに沿わせた横長のファミクロです。基本は洋服収納。人が中へ入る独立室にしなかったため、収納専用の通路を取らずに済みました。
洗濯動線と省スペースの両方に満足しており、今のところファミクロ自体には賛成。特に、収納だけが目的なら壁面型を最初に比較してほしいと考えています。
口コミ2|ランドリーのすぐ隣:数歩の差で放置が減った
ランドリーの隣にファミクロを配置した施主は、乾燥機にかけない衣類を室内干しし、乾いた衣類を隣のファミクロへ戻しています。
移動距離が短くなり、後回しにして放置することが減ったと評価。一方、子どもの服は別の階に置いており、すべてをファミクロへ集めているわけではありません。
出典:ずぼらママの家づくり「ランドリールームとファミクロを隣にして正解」
口コミ3|28坪・2畳強:作って良かったが、全員分は入らない
延床28坪の家で、1階に約2畳のウォークスルー型を採用した施主は、生活の中心に収納があることを高く評価しています。
ただし、4人分の衣類すべては入らず、夫の服や季節物は別収納へ。2畳でも役立っている一方、もう少し広ければという感想もありました。
出典:28坪2階建て・家事ラクな家づくり「2畳ちょっとのファミリークローゼット」
口コミ4|約5畳:広くても、夫婦の服すべては入らない
約1年ファミクロを使った施主は、5畳弱の空間を衣類だけでなく、バッグ、工具、日用品などの収納にも活用していました。
一方で、夫婦の服だけでもすべては収まらず、季節外の服は寝室へ置いています。「5畳なら余裕」とは限らず、持ち物の量と収納範囲が結果を左右する例です。
出典:むいむいのマイホームづくり「ファミリークローゼットを約1年使って気づいたこと」
口コミ5|ランドリーと別階:服がランドリーへたまりやすい
水回りとランドリールームが2階、主なファミクロが1階にある施主は、入居4年後、服を戻す距離と階段移動を負担に感じていました。
実際に、1階へ戻す服が2階ランドリーへたまりやすくなったと振り返っています。収納量があっても、洗濯の終点から遠いと使い切りにくい例です。
出典:住友林業の家づくり「建てて4年で気付いたファミリークローゼットの場所」
口コミを比べて分かった4つの分岐点

事例を並べると、満足と後悔は「2畳か3畳か」だけでは説明できません。GURIZOの分析では、次の4条件で評価が分かれています。
- ランドリーとの距離:隣か、同じ階か、階段移動があるか
- 収納する範囲:普段着だけか、家族全員・全季節・日用品まで入れるか
- 中央の床の役割:ただの通路か、着替え・回遊にも使うか
- 将来の分け方:子どもの成長後も一括か、個室へ移せるか
つまり、「ファミクロを作るか」より、何を一か所へ集め、どの動作をなくすかを決める方が先です。
GURIZOメモ
2畳で満足している家もあれば、5畳近くても服が全部入らない家もある。これ見たら、畳数だけ聞いて決めるのは無理よね。まず今の服を数える。地味だけど、たぶんそれが一番失敗しにくいです。
GURIZO式|必要度と形を2段階で決める

ここからは、公的な基準ではなく、実体験と上記の事例を基に作ったGURIZO式の判断方法です。
第1段階|ファミクロ必要度チェック
次の5項目へ、YESかNOで答えてください。
- 家族の普段着を一か所へ集めたい
- ランドリーの隣、または同じ階へ置ける
- 洗濯後に各部屋へ服を運ぶ作業を減らしたい
- 今ある服を、ハンガー長さ・引き出し数で測れる
- 子どもの成長後に服を分ける余地を残せる
YESが4〜5個なら、ファミクロの効果を得やすい候補です。
YESが2〜3個なら、家族全員分を入れる独立室より、普段着だけの壁面収納やランドリー収納から比べます。
YESが0〜1個なら、個室収納を基本にし、タオル・下着・部屋着だけを水回りへ置く案が合理的かもしれません。
第2段階|使い方から形を選ぶ
- しまうだけ:壁面・横長型
- 中で着替える:ウォークイン型
- 通り抜けたい:ウォークスルー型
- 各自で管理したい:個室分散型
僕の家は「しまうだけ」が中心なので、壁面・横長型が合いました。ファミクロの中で着替えたい家庭なら、中央の床はデッドスペースではなく、必要な身支度スペースになります。
図面決定前に確認したい6項目
- 収納物を限定する:洋服だけか、バッグ・布団・日用品まで入れるか
- 現在量を測る:ハンガーパイプの長さ、引き出しの幅と段数を数える
- 洗濯の終点を描く:乾いた服が収納へ戻るまでを図面上でたどる
- 通路の役割を決める:着替え・回遊に使わないなら、外側から取る案も比べる
- 湿気対策を確認する:換気・除湿・扉・室内干しとの位置関係を設計者へ確認する
- 同じ床面積で4案を比較する:壁面型、ウォークイン、ウォークスルー、個室分散を並べる
図面には、空の収納ではなく、服が掛かり、引き出しが開き、洗濯かごを持った人が動いている状態を書き込んでもらってください。
よくある質問
4人家族なら何畳必要?
家族人数だけでは決められません。普段着だけか、季節物やバッグまで入れるかで必要量が変わります。
先に今ある服を測り、その量が入る収納設備と、必要な通路・着替えスペースを足して面積を決めます。
ランドリールームの隣なら湿気が心配では?
室内干しをする場合は、換気・除湿・空気の流れを一緒に確認します。隣接自体が悪いのではなく、乾燥計画なしで衣類を密集させることが問題です。
実際の設備能力や扉の扱いは家ごとに違うため、設計担当者と採用機器の資料で確認してください。
子ども部屋のクローゼットはなくしていい?
今の家事だけを考えれば、ファミクロへ集約する案は合理的です。ただ、成長後のプライバシーや本人管理を考えると、後から家具を置ける壁や、小さな収納を残す選択肢もあります。
ファミクロの中で着替えないなら、ウォークインは不要?
必ず不要とは言えません。大量の服へアクセスしやすい、姿見や荷物を置ける、回遊動線の一部になるなど、中央の床に別の役割があれば価値があります。
反対に、本当に服を取るだけなら、壁面・横長型の方が同じ床面積を使いやすい可能性があります。
最終判断|ファミクロには賛成。でも、先に“部屋”を作らない
僕は、ファミリークローゼットを採用して良かったと感じています。ランドリー横の横長収納は、洗濯後の移動を短くし、人が入るための専用スペースも増やさずに済みました。
だからファミクロ自体はおすすめです。
ただし、最初から「3畳の部屋を作る」と決めるのではなく、次の順番で考えます。
- 何をしまうか
- どの家事を減らすか
- 中へ入る必要があるか
- 必要な収納の長さと引き出し数はいくつか
- その結果、何畳必要か
ランドリー計画から考える場合は、ランドリールームが必要な家庭・いらない家庭も合わせて読むと、洗う・乾かす・しまうを一続きで判断できます。
乾燥機を中心にする家庭は、乾太くんが必要な家・いらない家を比較した記事も参考にしてください。
まず今のクローゼットを開き、オンシーズンの服だけでいいので、ハンガーの横幅と引き出しの数を測ってみてください。その数字を持って、設計担当者へ同じ延床面積で「壁面型・ウォークイン型・個室分散型」の3案を依頼すると、必要なファミクロの形が見えやすくなります。

