この記事は広告を含みます
畳数より先に、床を見る
シューズクロークは、靴の部屋ではない。「靴のまま取る物」と床に残る物から、必要な広さを決める

玄関のたたきに、濡れた傘。畳んだベビーカー。砂のついた外遊び道具。届いた段ボール。そこへ家族の靴が戻ると、図面では広かった玄関が、一日の終わりだけ細くなります。
シューズクロークを調べると、「1畳で足りる」「1.5畳がおすすめ」「2畳なら安心」といった答えが並びます。全部正しそうに見えて、全部言っていることが違います。でも、同じ1.5畳でも、靴だけを棚へ置く家と、ベビーカーやキャンプ用品を床へ置く家では、使える広さがまるで違います。
靴は棚へ上がります。傘は立ちます。けれど、大物は床に居座る。ここを数えずに畳数だけ決めると、収納を増やしたのに玄関が狭くなる、妙な逆転が起きます。
「何畳あれば足りる?」から始めると、家ごとの差が消える
DAIKENは、シューズクロークの目安として最低1畳、通路幅80cm以上を案内しています。同社の例では、1畳は靴や傘を収めるウォークイン型、1.5畳は畳んだベビーカーやゴルフバッグ、2畳は通り抜け動線や大型のベビーカー・キャンプ用品、2.5畳以上は自転車などの大型品まで想定しています。
これは分かりやすい入口です。ただし、住宅全般に共通する最低基準ではなく、あくまで同社が示す目安です。棚の奥行き、扉、柱、収納物、人の体格、同時に使う人数で必要寸法は変わります。
数字が教えてくれるのは、採用率よりも「靴を履かないと取れない物」が生まれやすいことです。ハンコ、子どもの帽子、エコバッグ、防災用品。土間へ置ける物と、室内から取りたい物を一緒に詰めると、毎回小さな履き替えが発生します。
シューズクロークは、靴の部屋ではない。
外の汚れを、家のどこまで入れるか決める境界線です。
まず玄関に「土の境界線」を引く
収納リストを作る前に、物を三つの場所へ分けます。外で濡れてもよい場所、靴のまま入れる土間、靴を脱いだあとの室内です。大事なのは、きれいに分類することではありません。帰宅した人が、どこで靴を脱ぐかを先に決めることです。
図面に描いた人型は、傘も買い物袋も持たず、きれいに一列で歩きます。現実の家族は、そこまで図面へ協力的ではありません。
玄関に一本、土の境界線を引く
一時的な段ボール
→↓
床へ置く大物
→↓
靴下で取りたい物
迷う物は「雨の日、帰宅して最初にどこへ置くか」で決める。
セキスイハイムも、シューズインクローゼットを靴だけでなく傘、ベビーカー、アウトドア用品を置ける土間続きの収納であり、外と家をつなぐ「支度の場」と説明しています。
コートを掛けたいなら、帰宅時だけでなく出発時も再生します。靴を履いてから「あ、上着」と戻るのか。室内側から手を伸ばせるのか。収納量だけでなく、境界線を何回またぐかが使い勝手を決めます。
図面へ置くのは靴の数ではなく、床に残る物の四角
靴は「何足」でも構いません。棚板の幅と段数へ置き換えられるからです。図面で先に場所を奪うのは、棚へ上がらない物です。
図面へ「ベビーカー」と文字で書けば、数センチで収まります。便利です。実物だけが、その文字サイズに合わせて小さくなってくれません。
僕が玄関図面を見るなら、ベビーカーやゴルフバッグの名前を書くだけでは終えません。実物の幅と奥行きを測り、図面と同じ縮尺の四角にして置きます。将来ほしい自転車やアウトドア用品は、メーカー寸法か近い品の寸法を仮置きします。
床に残る物テスト
収納名ではなく、実寸の四角と通路を同じ縮尺で置く
寸法は家族の実物と設計図の縮尺で確認。上図は考え方を示す模式図です。
この四角を置くと、「1.5畳だから十分」ではなく、「ベビーカーを置いたまま人が向きを変えられるか」で話せます。棚を増やせば解決するのか。床を広げるのか。物を物置へ移すのか。設計の選択肢が急に具体的になります。
ウォークスルーは便利。でも、収納の中に通路を一本つくる
ウォークスルー型は、玄関から収納を抜けて室内へ入れます。帰宅動線を整えやすい一方、入口と出口、そこを結ぶ通路が必要です。南海プライウッドも、ウォークイン型は壁面を活かしやすく収納量を取りやすい、ウォークスルー型は回遊性が高い反面、通路分だけ収納量が減ると整理しています。
| 形 | 強いところ | 図面で確かめること |
|---|---|---|
| 壁面収納・下駄箱 | 人が中へ入る通路を取らず、玄関面積を使いやすい | 靴以外の大物をどこへ置くか。扉を開けたまま通れるか |
| ウォークイン | 行き止まりの壁を棚にしやすく、床置き品をまとめやすい | 室内から取りたい物がないか。中で向きを変えられるか |
| ウォークスルー | 玄関から収納、洗面やLDKへ動線をつなぎやすい | 通路を除いた収納量。家族が本当に毎日そこを通るか |
家族玄関を作っても、来客用玄関の方が広くて近ければ、急ぐ朝はそちらを通ります。動線は、図面上でつながっているだけでは使われません。短いか、暗くないか、荷物を持って曲がれるかまで見ます。
僕は図面に「回遊」と書かれていたら、一度その矢印を頭の中で消します。矢印がなくても家族がそちらを選ぶか。歩けることと、歩きたくなることは別です。
同じ玄関面積で、二つの案を比べる
シューズクロークを広げれば、その分だけ玄関ホール、洗面、パントリー、LDKなど別の場所が動きます。だから「1.5畳のSICが欲しい」だけを渡すより、同じ玄関面積で二案を頼む方が比較しやすくなります。
靴のまま取りたい物: 傘/ベビーカー/外遊び道具/____
靴下で取りたい物: 鍵/バッグ/上着/____
床に残る物の実寸: 幅__cm × 奥行き__cm
比べたい案: 壁面収納を厚くする案/人が入れる案
この一文なら、収納の名前ではなく家族の動作を渡せます。A社は壁面収納と外部物置へ分けるかもしれない。B社はウォークインを室内側からも開けるかもしれない。C社はウォークスルーを洗面へつなぐかもしれない。同じ問題への答えが違うから、間取りを比べる意味が生まれます。
まだ住宅会社を決めていないなら、先ほどの一文を一社ずつ説明する前に、同じ希望を複数社へ渡してみる方法があります。タウンライフ家づくりの公式サイトでは、選んだ住宅会社へ間取りプラン、資金計画、土地探しの提案をまとめて依頼できると案内しています。
比較
要望欄へ書くのは、「1.5畳希望」だけではありません。床に残る物の寸法と、「壁面収納案/人が入れる案を比べたい」まで書きます。畳数を売り込まれる相談から、同じ玄関をどう使うか比べる相談へ変えられます。
図面が固まる前なら、玄関収納へ使う面積と、隣の部屋に残す面積を一緒に比べられます。先に床の四角を測った今が、希望を渡しやすいタイミングです。
利用は無料です。依頼先は自分で選べます。会社ごとに提案内容・方法が異なり、希望地域や条件によって提案できる会社や内容も変わります。届いた資料は確定図面・確定見積もりではないため、各社との打ち合わせで条件を確認してください。
扉と換気は、最後の飾りではない
中を隠したいなら扉を付けたくなります。DAIKENは、オープン型は出入りしやすい一方で中身が見え、臭いが広がりやすいこと、クローズ型は隠しやすい反面、扉の開閉領域が必要と説明しています。
片引き戸なら、戸を引き込む壁へ棚を付けにくい場合があります。南海プライウッドの図面分析でも、シューズクローク832物件のうち、引戸の引込部がある例と窓がある例はいずれも32%でした。窓を付ければ必ず換気できる、換気扇があれば臭わない、とも言い切れません。地域、方角、空調計画、濡れた物の置き方を含めて設計者へ確認します。
パナソニック ホームズは、シューズインクロークの注意点として、玄関が狭くなること、湿気・カビ・臭い、物置状態になりやすいことを挙げています。大きくすることより、濡れた物を乾かす場所、掃除機が入る隙間、棚を動かせる余地を残す方が、長く使えることがあります。
よくある質問
シューズクロークは1畳でも足りますか?
靴や傘が中心で、床置きする大物が少なければ成り立つ例はあります。DAIKENも1畳をウォークイン・I型の例として挙げています。ただし、棚と通路を引いた残りへ実物が収まるかを図面上で確かめてください。
1.5畳あればベビーカーを置けますか?
畳んだ寸法、棚の奥行き、扉、通路で変わります。ベビーカーを名称だけで書かず、畳んだ状態の幅と奥行きを図面へ置くのが確実です。将来使わなくなった後の置き換え先も決めておくと、空間が余りにくくなります。
ウォークスルーとウォークインはどちらがいいですか?
収納量を優先するなら壁面を取りやすいウォークイン、帰宅動線をつなぎたいならウォークスルーが候補です。通り抜けには床が必要なので、同じ面積で棚が何cm取れるかを並べて比べます。
コートも一緒に収納して大丈夫ですか?
可能ですが、濡れた傘や泥のついた物と近くなるため、換気、離隔、棚材、臭い移りを確認します。靴を履かずに上着を取りたい家族なら、室内側から手が届く配置や別のクロークも比較対象です。
シューズクロークをやめる判断もありですか?
あります。壁面収納と外部物置へ分けた方が、玄関を広く残せる家もあります。欲しいのが部屋の名前なのか、土の物を室内へ持ち込まない仕組みなのかを分ければ、代案を選びやすくなります。
シューズクロークは、先に1畳・1.5畳・2畳から選ぶものではありません。土の境界線を引く。靴のまま取る物と、靴下で取りたい物を分ける。床に残る物を実寸で置き、人の通路を重ねる。それから必要な形と広さへ戻ります。
良いシューズクロークは、何でも入る部屋ではありません。雨の夕方でも、玄関の床から家族の通り道が消えない収納です。
床に残る物の寸法を一文にして、選んだ住宅会社へ同じ条件を渡せます。
会社ごとに提案内容・方法は異なります。依頼内容と連絡方法を確認し、契約前に寸法・仕様・費用を各社へ確認してください。

