洗濯機の場所を決めた。物干しも付けた。ファミリークローゼットも作った。
それでも、洗濯物が片づかない家はあります。
理由は単純で、洗濯はボタンを押して終わる家事ではないからです。脱いだ服を集め、洗い、乾かし、最後に収納へ戻して、ようやく一周が終わります。
僕の家では、ランドリーの横に、ランドリーの長さに添う横長の衣類収納を作りました。収納の中へ入る専用通路はなく、ランドリーで使う床から服を出し入れする形です。これは洗濯後の収納までが近く、実際にめちゃくちゃ使いやすいと感じています。
ただし、「全部を一部屋へ入れれば正解」とは思っていません。外干しが中心の家、乾燥機を多用する家、個室で服を管理したい家では、合う間取りが変わります。
そこで今回は、住宅会社・収納メーカーの公式情報と、入居後の公開事例を確認し、洗濯動線を図面で検証する方法へ落とし込みました。
この記事を書いた人|GURIZO(グリゾー)
九州で家族と注文住宅を建てた30代会社員。家を建てた後も、間取り・住宅設備・費用を調べ続けています。専門家として正解を押しつけるのではなく、実体験・公式情報・第三者の事例・僕の分析を分けて、判断材料を整理します。
3秒で分かる結論

洗濯動線の良い間取りは、単に洗濯機と物干しの距離が短い間取りではありません。
僕なら、次の5点を図面へ書き込みます。
- 脱いだ服が、洗濯機の近くへ集まるか
- 濡れた洗濯物を持って、階段や長い廊下を移動しないか
- 晴れの日と雨の日で、干す場所がどう変わるか
- 乾いた服を戻す収納先が、何か所に分かれるか
- 洗濯機・乾燥機・物干し・収納・扉を同時に使えるか
この5点がつながっていれば、独立したランドリールームがなくても洗濯動線は整えられます。逆に、広いランドリールームがあっても、収納が別の階に分散し、雨の日だけ遠い部屋へ干すなら、最後の移動は残ります。
GURIZO MEMO
「洗う→干す」だけ見て満足しがちなんよね。でも、服がクローゼットへ戻るまでが洗濯。僕は図面に“しまう先”まで書かれていないと、まだ動線は完成していないと思っています。
まず洗濯を「4工程」に分解する

パナソニック ホームズは、ランドリールームで行う一連の作業として、仕分け、洗濯、干す、取り込む、たたむ、収納する工程を挙げています。
参考:パナソニック ホームズ「ランドリールームで家事動線を短く!間取りを考えるポイントは?」
この記事では、図面へ落とし込みやすいように、次の4工程へまとめます。
| 工程 | 図面で確認する場所 | 見落としやすいこと |
|---|---|---|
| 集める | 脱衣かご・各部屋・洗濯機 | 家族の服が何か所から来るか |
| 洗う | 洗濯機・予洗い場所 | 洗剤、洗濯ネット、汚れ物の仮置き |
| 乾かす | 乾燥機・室内干し・外干し | 乾燥機に入れない服、雨天時の代替場所 |
| しまう | ファミクロ・個室・タオル収納 | 収納先の数、階移動、ハンガーの掛け替え |
ここで大事なのは、部屋名ではなく作業場所です。
「ランドリールーム」と書かれた部屋でも、乾いた服を2階の各個室へ配るなら、収納工程は別です。逆に、脱衣室に洗濯機と物干しがあり、すぐ横の収納へ戻せるなら、独立室がなくても工程は短くつながります。
確認できる事実:洗濯は仕分けから収納まで複数工程で構成され、工程ごとに場所が違えば移動が発生します。
GURIZOの整理:「集める・洗う・乾かす・しまう」の4地点を図面に置き、地点間の移動を確認します。これは公的な評価基準ではなく、本記事独自の確認法です。
GURIZO式「洗濯動線監査」は、距離だけを測らない
洗濯機から物干しまでの距離だけなら、定規で測れます。
でも、実際に面倒なのは、濡れた洗濯物を抱えたまま扉を開ける、階段を上る、曲がる、乾いた服を家族別に配るといった動作です。
そこで僕なら、図面へ次の5種類を書き込みます。
- FLOOR:階をまたぐ回数
- WET:濡れた洗濯物を運ぶ区間
- DOOR:かごを持ったまま通る扉
- TURN:曲がり角と行き止まり
- DEST.:乾いた服を戻す収納先
歩数だけを全国共通の基準にすることはできません。身長、図面の縮尺、家具の位置、家族の役割で変わるからです。
だから「10歩なら合格」のようには決めず、同じ図面の案Aと案Bを、同じ条件で比較します。見るのは、距離が何メートルかより、負担になりやすい移動がどちらに多いかです。
GURIZO MEMO
濡れた服を持った5歩と、手ぶらの5歩は同じじゃない。僕なら“重い状態でどこを通るか”を黄色で塗ります。
3つの間取りを同じ条件で比較する

洗濯動線は、主に次の3タイプへ整理できます。
| 比較項目 | A|階をまたぐ | B|同一階で隣接 | C|乾燥機中心 |
|---|---|---|---|
| 基本ルート | 1階で洗う→2階で干す→各室へ | 洗う→干す→収納を近接 | 洗う→乾燥機→近くへ収納 |
| 濡れた移動 | 長くなりやすい | 短くしやすい | ほぼ同じ場所にまとめやすい |
| 床面積 | 専用室なしでも可能 | ランドリー・収納分が必要 | 機器前の作業場所が必要 |
| 雨の日 | 室内干しの別ルートが必要 | 室内干しなら変化が少ない | 乾燥不可の衣類用物干しが必要 |
| 向きやすい家庭 | 外干し優先、2階収納中心 | 室内干しと一括収納が中心 | 乾燥機を主力にする |
※優劣の断定ではなく、同じ生活条件で比較するための整理です。
A|1階で洗い、2階で干す
1階の洗面脱衣室に洗濯機、2階に日当たりの良いバルコニー、各個室にクローゼットを置く昔からある形です。
専用ランドリールームを作らず、2階の採光や風通しを使えるのはメリットです。一方、洗うたびに濡れた衣類を階段で運ぶことになります。
採用するなら、階段の上り口と物干しを近づける、雨の日の室内干しを階段付近へ用意する、乾いた服を家族が自分で持っていく仕組みにするなど、運搬の負担を別の方法で減らせるか確認します。
B|洗う・干す・しまうを同じ階で隣接させる
洗濯機、室内干し、作業台、衣類収納を同じ階へまとめる形です。
濡れた状態での階移動を減らしやすく、天候でルートが変わりにくいのが強みです。南海プライウッドの間取り事例でも、洗面・脱衣・浴室を一直線につなぐ例や、洗面室兼ランドリーをL字にまとめる例が紹介されています。
参考:南海プライウッド「失敗しない!ランドリールームの間取り完全ガイド」
ただし、部屋をまとめても、物干しと扉がぶつかる、収納前の通路が狭い、乾燥設備が足りないと使いにくくなります。「同じ部屋だから安心」ではなく、服を掛けた状態と家電の扉を開けた状態まで描く必要があります。
C|乾燥機を中心に、近くへ収納する
乾燥機を主力にする家庭なら、物干しまでの移動より、洗濯機から乾燥機への移し替えと、乾燥後の仕分けを短くする方が効きます。
ただし、乾燥機ですべての衣類を処理できるとは限りません。衣類の表示と機器の取扱説明書を確認し、乾燥機へ入れない服をどこで干すかも残しておきます。
消費者庁「新しい洗濯表示」では、家庭洗濯、漂白、タンブル乾燥、自然乾燥などの表示が整理されています。家づくりでは「乾燥機あり」で検討を止めず、手持ちの服に別ルートが必要か確認するのが安全です。
GURIZO宅は、ランドリーの床と収納前の床を共用した

僕の家では、ランドリーに添うように、横へ長い衣類収納を併設しています。
基本的に収納しているのは洋服です。独立したファミリークローゼットの中へ人が入るのではなく、ランドリーで使う床から、そのまま服を出し入れします。
この形のメリットは、収納だけのために人が立つ専用通路を作らなくていいことです。ランドリーの作業スペースと収納前のスペースを共用できるので、省スペース化しながら、乾いた服をすぐ横へ戻せます。
結論、洗濯動線を含めてめちゃくちゃ良く、僕はおすすめです。
ただし、一般的なファミリークローゼットの中央通路がすべて無駄だとは思いません。その場で着替える、家族が通り抜ける、左右両面へ収納するなら、通路にも役割があります。
収納するだけなのか。着替えるのか。通り抜けるのか。
役割が違えば、必要な床も変わります。
僕はファミクロ自体には賛成。でも、服をしまうだけなら「中へ入る部屋」にする前に、ランドリーから手が届く壁面型も絶対に比べます。
詳しい比較は、ファミリークローゼットを採用した実体験と口コミの記事で整理しています。
公開事例で分かったのは「同じ階」だけでは足りないこと

ここでは、条件を確認できる2つの入居後事例を比べます。個人の体験であり、日本の住宅全体を代表する統計ではありません。
事例1|1階で洗い、2階で干す。収納先が3か所へ分散
ESSEonlineで公開された施主体験では、1階の洗面脱衣所に洗濯機、2階にインナーバルコニーと大きなオープンクローゼットを配置していました。
「干す→しまう」は近い計画でしたが、実際には夫婦の衣類とタオル・インナーの収納が3か所へ分かれました。さらに、乾燥機へ入れない衣類は2階で室内干しになり、片づけが負担になったと説明されています。
出典:ESSEonline「洗濯&収納動線が悪すぎて衣類が永遠に片づかない間取り」
この事例から読み取れるのは、洗濯機と物干しの距離だけでなく、実際に持っている家具、乾燥方法、家族別の収納先まで決めないと、完成後に動線が分岐することです。
事例2|2階リビングでも、洗濯の主要工程は1階へ集約
「事前知識ゼロで注文住宅に挑む」の施主は、2階リビングの家で、洗濯機、外干し、雨の日の室内干し、寝室横のクローゼットを1階へまとめています。
記事では、洗濯機から外干し場所まで自己計測で10歩程度とし、ハンガーのまま干してクローゼットへ掛ける方法を採用。2階へ運ぶのはキッチンやトイレのタオルなど一部に限られると説明しています。一方、梅雨時はエアコンだけで乾かず、除湿機を追加したとも記載しています。
出典:事前知識ゼロで注文住宅に挑む「2階リビングにした我が家のスッキリ洗濯動線」
成功の理由は「1階完結」という言葉だけではなく、干す方法、収納方法、2階へ持っていく物まで決めていたことだと考えられます。
干す場所の隣に収納があっても、家族の持ち物と乾燥方法が計画から外れると、収納先が増えた。
2階リビングでも、洗う・干す・主な収納を1階へ集め、上階へ運ぶ物を限定した。
2例の条件比較であり、統計的な優劣を示すものではありません。
雨の日に別ルートが生まれる間取りは、そこで再検証する

晴れた日はベランダへ5歩。これだけを見ると短い動線です。
でも、雨の日はリビングへ物干しを出す。乾燥機へ入れられない服だけ2階へ持っていく。厚手の物だけ浴室乾燥へ回す。
このように乾燥方法が変われば、洗濯動線も変わります。
検証は「いちばんラクな日」ではなく「ルートが分かれる日」で行う。
- 雨で外干しできない日
- 乾燥機へ入れられない衣類がある日
- シーツやタオルで洗濯量が増えた日
- 誰かが入浴・身支度をしている時間
室内干しでは、広さだけでなく、送風、除湿、換気、衣類間隔を含めて乾燥方法を考える必要があります。ランドリールーム自体の必要性と乾燥条件は、ランドリールームの口コミと判断基準の記事で詳しく整理しています。
回遊動線は「通れる数」ではなく、戻る作業が減るかで決める
ランドリーを中心に、キッチン、洗面、脱衣、ファミクロをぐるっと回れる間取りは魅力的です。
パナソニック ホームズも、LDKから洗面、ランドリー、脱衣へ回遊でき、料理や子どもとの時間の合間に洗濯へ移りやすい事例を紹介しています。
一方、出入口が増えれば、その分だけ壁面収納を置きにくくなり、扉同士の干渉も検討事項になります。セキスイハイムの解説でも、ウォークスルー型は通り抜けやすい反面、通り抜ける床や扉の開けしろで収納量が減りやすいと整理されています。
参考:セキスイハイム「ファミリークローゼットで後悔しない間取りのポイント」
僕なら、次のどちらかに当てはまるとき、回遊の価値があると考えます。
- 洗濯と料理などを並行し、同じ場所へ何度も戻る
- 家族同士がぶつかる行き止まりを、2方向の出入口で解消できる
「回れるから便利」ではなく、回れることで何の往復や待ち時間が減るのかを確認します。理由が説明できなければ、出入口を一つ減らして収納や作業台へ使う案も比較します。
GURIZO MEMO
回遊動線は好き。でも、矢印が丸く描けること自体に価値はないんよね。扉を一つ増やして、何往復減るのか。そこまで言えたら採用です。
GURIZO LAB CHECK #005|洗濯動線の必要度診断

次の5項目を、今検討している図面で確認してください。
- 01脱いだ服の主な置き場が、洗濯機の近くに決まっている
- 02濡れた洗濯物を持って、階段や長い廊下を通らない
- 03雨の日と乾燥機に入れない服の干し場所が決まっている
- 04乾いた服を戻す主な収納先と、家族の分担が決まっている
- 05家電の扉、物干し中の衣類、収納、建具が干渉しない
※GURIZO独自の確認表です。建築基準・性能評価・専門家の設計判断ではありません。
点数は家の価値を決めるものではありません。YESにならなかった項目を見つけ、図面案の比較に使うための道具です。
例えば、外干しを大切にしたい家庭が「濡れた洗濯物を階段で運ぶ」にNOでも、その代わりに日当たり、プライバシー、広い物干しを得ているなら、納得して選べます。
大切なのは、弱点を知らないまま採用しないことです。
契約前に図面へ書き込みたい8項目

間取りが固まる前に、平面図を1枚コピーし、次を実際に書き込んでください。
- 家族それぞれが服を脱ぐ場所
- 洗濯かごと洗剤・ネットの置き場
- 洗濯機と乾燥機の扉を開けた範囲
- 濡れた衣類を運ぶルート
- 晴天・雨天・乾燥不可衣類の干し場所
- 物干しに服を掛けた状態の通路
- タオル、下着、普段着、個室管理の服の収納先
- 誰がたたみ、誰が各収納へ戻すか
採用する洗濯機や乾燥機が決まっている場合は、メーカーの最新の設置図・取扱説明書で、本体寸法だけでなく、扉、給排水、放熱、メンテナンスに必要な空間を確認します。
機種が未定なら、候補機種を複数置いて比較します。「今の洗濯機が入る」だけで決めると、将来の買い替えで選択肢が狭くなる可能性があります。
洗面と脱衣の同時使用も重ねて確認したい人は、洗面所と脱衣所を分ける判断基準も合わせて読んでください。
よくある質問
洗濯動線を良くするには、ランドリールームが必須ですか?
必須ではありません。
脱衣室に洗濯機と室内物干しを置く、乾燥機を主力にする、ホールや多目的室を干し場にするなど、専用室なしでも工程はつなげられます。
独立室が必要かは、室内干し量、作業台の使用、家族との同時使用、他の部屋へ使う床面積を含めて判断します。
すべて1階に置けば、必ず良い間取りになりますか?
必ずではありません。
2階で着替え、2階で外干しし、個室へ収納する家庭なら、水回りを2階へまとめる案もあります。敷地、採光、来客動線、寝室との関係で適した階は変わります。
「1階か2階か」より、4工程がどこで完了するかを優先してください。
乾燥機があれば、物干しはなくても大丈夫ですか?
手持ちの衣類と生活によります。
衣類の表示、乾燥機の説明書、家族の服の種類を確認し、乾燥機へ入れない服や大物を処理できる場所があるか確認してください。
乾太くんとドラム式を比較した記事では、乾燥方法の違いを整理しています。
洗濯動線は何歩以内なら合格ですか?
全国共通の合格歩数はありません。
同じ5歩でも、濡れた衣類を抱えて階段を上る5歩と、乾いた衣類を隣の棚へ戻す5歩では負担が違います。案ごとに同じ条件で歩数を数え、階移動、扉、曲がり、収納先の数も一緒に比べる方が実用的です。
GURIZO VERDICT|最短距離より、最後まで切れない一本線

最短の間取りを探すより、雨の日も、乾燥機に入れない服も、収納先まで一本で追える図面を選ぶ。
僕の最終判断は、洗濯動線は「最短距離」より「最後まで切れない一本線」です。
独立したランドリールームがあるか。ファミリークローゼットが何畳か。回遊できるか。
それだけでは決まりません。
家族がどこで服を脱ぎ、どの方法で乾かし、誰がどの収納へ戻すのか。晴れの日だけでなく、雨の日や洗濯量が多い日も同じ図面で追えるか。
僕なら、そこまで書き込んでから部屋の広さと形を決めます。
そして、収納が衣類中心で、中で着替えたり通り抜けたりしないなら、僕の家のようにランドリーの床を共用する横長収納も比較します。ファミクロには賛成。でも、目的のない専用通路や広さには慎重です。
図面に赤ペンを入れ、5項目を一つずつ確認する。
それが、完成後の「こんなはずじゃなかった」を減らす一番現実的な方法です。

